お正月「年神様のこと」
鈴 木 宏 明
お正月には家族親戚の一同が集まって、わいわ
いがやがや飲んで食べて初詣。一年で最も時間が
ゆっくり流れるいい時ではないでしょうか。
しかし現代ではそんな楽しさばかりが先行して
お正月の本来の意味が忘れられかけているようで
す。
お正月は昔から「年神様」を各家庭にお迎えす
る行事と言われています。年神様とは今生きる私
たちに更なる生命力を与えて下さる神様とされ、
各家々の祖霊とも米の稲魂とも言われています。
お正月、その年神様は玄関先に飾られた門松を目
印に降りてこられ滞在されます。(門松のない家
には年神様は来られませんのでお気をつけ下さい。)
そして迎えた年神様はお供えである「鏡餅」に
宿られます。この鏡餅の由来は神様が宿る神鏡か
らきており、丸い形は魂を表し、大小二段重ねは
円満に年を重ねるという意味があります。また更
に鏡餅には橙(代々)裏白(潔白さと長寿)譲葉
(親から子へ順番に)昆布(悦び)串柿(幸せを
かき寄せる(また串にさす配列から)にこにこ仲
睦じく)などなど、美辞麗句をまとった縁起物が
飾られ、目出たさの中にも切なる家運隆昌・子孫
繁栄の祈りが込められているのです。
さて、そんな大歓迎された年神様からどのよう
にして私たちは生命力を戴くか……?お正月の食
べ物といえば……そう!お餅。お餅といえばこの
鏡餅。年神様の宿られた鏡餅を食べることによっ
て生命力を身体に取り込んでいるのです。この行
事が「鏡開き」ですね。食べるためには鏡餅を切
り分けなければなりませんが、刃物で切ると武家
社会では切腹を連想させるため、手で割るか木槌
で砕くようになり、縁起を担ぎ切り分けることを
「開く」という言葉で表現するようになったよう
です。
ちなみに「お年玉」。今では現金が当たり前で
すが、このお年玉は「年魂」、年神様の魂という
意味であって、鏡開きの餅を分け与える事でした。
さて今年のお正月。「はい、お年玉」と言って
子や孫にお餅を渡したら、どんな顔をされるで
しょうね?