このごろよく思うこと

          潮   貞 男

 随分と以前まだまだ自分が若い時にお会いし、
その時は企業の中堅にいらした方と、再び企業
のトップになられてお会いした時、その方の以
前と何も変わる事のない接し方と言葉に、ふと
自分もこんな風に「驕りなく謙虚に」また「強
さに裏付けられた優しさ」をもって人に接して
いこう、自分の人生を進めて行こうと、その時
は真摯に、これもまた、少しばかり若い時に思
ったものです。  
 さて、その時の思いが人生も七分どころから
八分どころに差し掛かった今の自分の中に、キ
チンと保てているだろうかとふと問いかけてみ
るものです。年を重ね、経験もそれなりに積み、
仕事も長くしている、それなりの立場にもある、
さりとて「人生が解かった」などとは言えるこ
とはなく、理解していることはきっと「最期ま
で解からないだろう」ということでしょうか。
 哲学が「人間とは何ぞや」という命題に科学
をもってしても未だ解答を持たないのだから、
こんなものだと強引にも、我田引水に自分に納
得しているところでもあります。
 何とはなく思っていることは、ただただ生き
ていることの幸せ感の中身はそれぞれ異なると
はいえ、人の社会にあって、生まれてきた人、
皆がそれぞれに幸せになる権利があるということ。
企業人とすればいつも、現状をより良く変えて
いくことで社員を人とする企業にあっても、社
会の中に在る意味を持たねばならないとするこ
とです。現状を守るのではなく謙虚に、強さに
裏打ちされた優しさをもってより良く変え続け
ていくことへの思いだとも考えます。
 ここで、やはり平易な言葉で表されるロータ
リークラブの「四つのテスト」をいつも思い浮
かべます。そして、「みんなのためになるかど
うか」。
 人の中に在って真摯に在りたいものです。