私のふるさと

              飛鳥馬 操
 
 私のふるさと千葉県野田市は千葉県の最北部に
位置し、市最北部で利根川より江戸川が分流し、
東に利根川、西に江戸川、南に利根運河と三方が
河川に囲まれており、その堤防からは空気の澄んだ
冬季には富士山が眺望でき又、富士山は真西に位置
しており夕日を背にしたまさに“赤富士”を鑑賞する
こともできます。
 歴史的には江戸時代、北部は大都市江戸への玄関口
となり、川の関所を設けた関宿藩の城下として、南部
では恵まれた水運により江戸っ子の食文化を支えた醤油
作りが盛んになり現在の“キッコーマン”の礎となる
野田醤油仲間が結成されたのもこの頃で現在でも
キッコーマンの本社所在地は野田市です。
 私が子供の頃昭和40年代迄は、市内の中心街に醤油工場、
瓶詰工場、倉庫等が点在し醤油の製造が盛んにおこなわれて
おり醤油の匂いがいつも漂っており、醤油を運搬する
トレーラーの往来や、積み込み作業で貨物列車の操車場内で
慌ただしく貨車が行きかう光景が今でも鮮明に
記憶に残っております。
 野田市は自然も豊かで自然を生かしたゴルフ場のコース
も多く点在し河川敷のコースからプロのトーナメントが
開催できる本格的なコースまで私が把握しているだけでも
5クラブあります。
 都心から車で50分位の距離ということもあり、特に
バブル絶頂期の土曜日、日曜日には接待族のゴルファーが
多数訪れ道路が混雑していたことも今では懐かしく
感じられます。
 現在の私のふるさとは、醤油工場が一部を除き他の
場所に移転し醤油の匂いも何時しか漂わなくなり、醤油
の街から首都圏への通勤圏であることからベットタウン化し、
数あるベットタウンの一つとして何ら特徴の無い街へと
変わりつつあります。今では、臭いと感じられた醤油の
匂いが漂っていた頃が懐かしく、また侘しくもあり、
自身も街の変化と共に年齢を感じるようになりました。