2006年ドイツW杯に思うこと

        入 江 弘 幸
 世界最大級のスポーツの祭典、サッカーワー
ルドカップが幕を閉じました。私自身は、休日
に小学一年の息子とボールを蹴る程度の経験し
かありませんが、一ヶ月にわたり、世界の人々
を熱狂させるこの大会を通じて、いろいろなこ
とを感じました。
 サッカーはボールを用いた、国と国との代理
戦争と言う人もいます。自国の威信をかけ、い
ろいろなかけひきの中で、相手と激しくぶつか
り合いボールを奪い合うこのスポーツは、その昔、
敵方の大将の首をとり、それをけったことから
始まったと聞いたことがあります。
 前回の日韓大会では、ベスト16に躍進した日
本チーム。今回は日本中の期待を一身に背負い、
臨んだ大会でしたが、結果は2敗1分の予選敗退。
 さまざまな敗因があったと思いますが、帰国
後の記者会見でジーコ監督は、オーストラリア
戦でいかに守備陣がつかれきっていたかを明かし、
日本人の体力が激しい競い合いの連続に耐えら
れなかったと説明していました。しかし、それ
は大会が始まる前から予想できたことであり、
同じ条件の下でプレーする以上、納得しがたい
ものでした。戦略や戦術は専門家にまかせると
しても、少なくとも日の丸を背負い、日本代表
としてピッチに立つ責任感は、これほどの暑さ
にあっけなく屈するほどのものなのかと感じさ
せるものでした。ベンチの控え選手を含め、戦
う姿勢、何としても勝つんだというひたむきさ
が伝わってこなかったことは残念なことであり、
世界の強豪と言われるチームは、どんな状況下
でも自分たちのレベルを保ち、90分間を戦い抜
く集中力のすごさをあらためて、感じさせてく
れました。
 もちろん、すぐに日本がサッカーで世界のト
ップクラスに追いつくとは思えませんが、近い
将来世界を相手に堂々と戦ってくれることを願
っています。このドイツ大会で味わった悔しさ
をもちつづけ、こりもせず、4年後の南アフリカ
大会に期待することにします。