還暦雑感

           生田 三郎

新年明けましておめでとうございます。
 この平成20年に還暦を迎えるネズミ男です。
歳だけは平等に取ると云うことでついに赤いチ
ャンチャンコを着るハメになった次第です。ま
さに光陰矢のごとしの感ありです。そもそも
我々が生まれた昭和23年はどんな年であった
か。
帝銀事件、片山内閣総辞職、芦田内閣成立・総
辞職、第二次吉田内閣成立、東條・広田元首相
等所謂戦犯の処刑、等々本当にまだ戦後がスタ
ートしたばかりの落ち着かない年でした。  
 爾来目覚しい復興を遂げジャパン・アズ・ナ
ンバーワンの声も出る程の評価を経てバブルと
その崩壊を経験、その後再興なるかの兆しを手
繰り寄せるや直近の暗雲立ち込めるただならぬ
状況下に突入してしまっているのであります。
しかも年々始末に終えない要因に世界が振り回
されることが多くなっています。市場のことは
市場に委ねると言いますが、投機マネーに席巻
される市場や真面目にコツコツと生産現場で額
に汗して企業や社会に貢献している人々の存在
を神はどうお感じになっておられるや。
 だが、いつの時代にも乗り越えなければなら
ない障害や破らなければならない壁はありま
す。ここに時代を超越した不変の基本がありま
す。「事に臨むに三つの難あり。能く見る、一
なり。見て能く行う、二なり。当に行うべくん
ば必ず果決す、三なり。」浅学の身で聞きかじ
りの解説を加える愚をお許し戴きたい。これは
陽明学者の張詠の言葉であり、事に臨む、変化
に対応していくには三つの難しいことがあると
説いています。観察力や調査力そして実行力が
重要なのは誰でも分かります。最後の果決が一
番難しいようです。果決とは花と果実に例える
と分かり易い。果物の木に十輪の花が開いたと
します。これを全部咲かせて実らせるとどれも
小粒になって見事な実を得ることは出来ない。
そこで九輪の花を間引いて一輪だけ残す。即ち
果決。そこには選択する決断と勇気が要るのは
いうまでもありません。しかも、並みの観察力
や調査力そしてありふれた実行力では駄目で、
質の高い選択をする決断力であり、きめの細か
さを伴った勇気でなければならない。
 さて我々凡夫に出来るかどうか逡巡している
暇などある筈もなく、現役の間は社会貢献とリ
ンクした社業発展に傾注し卒業後はなるべく多
くの時間を世のため人のため自分のために微力
を尽くす。改めてそう感じる正月でした。その
ためにはやはり健全な魂を健康な肉体に宿らせ
るべく、三クラブゴルフコンペと登山同行会で
リフレッシュを図ることが私にとって最も肝要
であります。皆様本年もよろしくお願い致します。