私をお山に連れてって

     東  佳 範

 先週、家内と右田ヶ岳に登った。私は記念す
べき10回目の登頂となった。
 ここ十数年前から右田ヶ岳登山ブームらしい。
私も約5年前天徳寺ルートから初登頂を目指した。
当時小学校低学年の息子とともに3日間の断酒の
後挑戦した。危ないだろうと息子を先に行かせ
たのが仇となって、ハイペースのため石船山の
頂上まで7〜8回休憩をし、知っている方に笑わ
れながらやっとたどり着いたのである。
 そのトラウマがあるため二度と登りたくない
と思い、またその反面、一生に一度はあの秀麗
な山頂に立ちたいものだと思っていた。こんな
話を以前近藤さんに話した時、塚原コースから
の登山を勧められた。
 右田ヶ岳登山への機会は一昨年の秋突然に現
れた。それは中村明人さんから法人会主催の右
田ヶ岳清掃登山の実施であった。法人会の専務
理事の立場上行かないわけにも行かず、決死の
覚悟で挑戦した。困難な事や、やりたくない事
は退路を断った状況でなし遂げられるもので、
なんとか登頂できた。当日は税務署職員の方や
法人会関係者に混じり、中一になった息子も参
加し山頂で二人で撮った写真を長く携帯の待受
け画面としていた。
 その後一年くらい登頂の機会が無かったが昨
年秋、また法人会の行事があり登山となった。
これを機会にロータリークラブの登山同好会が
立ち上がり何回かの右田ヶ岳登山をした。同業
者の山好きに言わせると同じ山に何回も登る人
の気が知れないようであるが、右田ヶ岳はリピ
ーターが多いのが特徴だと思う。その理由として、
変化に富むコース、見晴らしが良い、適当な山
の大きさ、山の姿が美しい等であろう。
 今年になってこの山に家内を連れて登ろうと
いう気になった。何故そんな気になったかよく
覚えてないが、まず登頂は無理だと思っていた。
それは息子が幼稚園の時、天神山に家族で登っ
た際、家内はやっとの思いで登頂したからである。
そこで右田ヶ岳の2合目までで引き返す予定での
登山であった。そんな気楽な挑戦が功を奏し頂
上まで登ってしまった。山頂に立った家内は大
感激で次の日には「登山靴買って」「来週また
登ろう」であった。なんと6日後に再登頂したの
である。
 その後先週までに6回の登頂を重ねた。共通の
趣味が出き、なんだか夫婦仲も良くなったよう
な気がする。今年中に天徳寺ルートの挑戦を含め、
あと10回の登山、そして生涯に200回は登ること
であろう。