ハイブリッドの矛盾

        職業奉仕部門
        担当理事 金田練二郎
 
ハリウッドスター達が、アカデミー賞の授賞
式にハイブリッドカーで登場し、環境問題をア
ピール!
 洞爺湖サミットで、エコカーが各国関係者の
移動用に活躍し、日本が誇る技術を世界にアピ
ール!
 しかし、ハイブリッドカーを作るための資源
を採掘するために、環境破壊が進んでいること
は余り知られていません。
 ハイブリッドカー製造には、希少金属である
ディスプロシウス・テルビウム等が不可欠です。
飛躍的な省エネの実現は、大幅な軽量化対策で
希土類(レアアース)磁石を自動車のモーター
部分に内臓出来たからです。その高温特性を持
った自動車用の希土類磁石を作る為には、前述
の資源が不可欠ですが、日本は100%を中国から
の供給に依存しています。希土類磁石はデジタ
ル家電・携帯電話・パソコン等あらゆる分野で
応用されているため、その需要量は爆発的に伸
びています。
 実は、その資源確保のために、中国の鉱山現
場で急速な環境汚染が進んでいるのです。
 昔は農民が手押し車で山から工場まで鉱石を
運んでいましたが、人件費が上がり採算が合わ
ない為、現在では、直接採掘現場に硫酸をかけて、
資源を浸出採取するといった手荒い方法がとら
れています。これによって、輸送コストは大幅
に削減できますが、1000tの鉱石から採取でき
る希土類資源は僅か2tのみ!998tの汚染土砂は、
再処理されないまま河に廃棄! 
 現実は、環境に負担が掛かり過ぎる方法が選
択されています。
 トヨタは09年春に発売予定の新型プリウス
生産増に向け、生産体制を再編!
 07年比70%増の月間4万台程度を生産する計
画です。
 また、原材料の高騰を受け、高級車などの一
部車種において、車体価格を値上げする方向です。
 いくら環境に良い車を走らせても、生産過程
で環境破壊をしているようであれば、それこそ
本末転倒!!
 不足が懸念される資源なだけに、資源確保の
良い手段と、その使用量を抑えた技術の両立が
求められています。日本の得意とする技術分野で、
この矛盾が解消できる日が来れば、本当のエコ
カーに進化するのではないでしょうか。