想い出
福 森 健 二
もうすぐ、母の一周忌である。昨年の今頃は
まだとても元気だった。享年、89才。息子の私
から見ても、実に立派なしんぼう強い母であった。
想い起こすのは、丁度今頃、「ケンちゃん100
まで生きてええかネ、生きれそうな気がする」と、
笑いながら、私の息子健心を抱いて話していた。
母は一人で住んでいた。父が14年前になくな
ってから、ずっと一人で住んでいた。
「防府へ来い」と一、二度言ったが「私はこ
こがええ、ここで死なせてくれ」とこの話にな
ると実に頑固であった。
実家は昔ながらの小さな商店である。となり、
近所のじいちゃん、ばあちゃん、そして子供の
話し相手にお菓子や小物を売っていた。
がしかし、それで生計が立つ訳がない。親父
の遺族年金だけで、本当に細々と生活をしていた。
2ヶ月に一回、家族で光に行き、母と食事をす
る、それが私の最低限の親孝行であった。
母の私に対する口ぐせである、
「時間は、待っちゃくれんよ。しっかり頑張り
ーよ」
本当にあっという間に一年が来た…。
「時は金なり」である。お母さんありがとう!