「秋の山林整備活動」

          北 川 益 雄 
 
三谷森林公園の山林整備活動に参加させてい
ただいた。
 前の週にドライブがてら下見に行ってはみた
ものの、具体的な場所や作業の内容は分からな
いまま公園内を車で一周しただけであったが、
鍬や鎌を手に作業を進めるうちに、身体の疲れ
よりも、もう随分と遠い昔、まだ小学生の頃、
父母に連れられて実家の山の下払いと杉の植林
を手伝わされた時のことを思い出してしまった。
 その時の父の自慢は、そこに点在する切り株
の木を用いて実家を建てたとのこと、そして、今、
植えている木は、私の代に残すべく植林してい
るとのことであった。事情があって、早くから
父母の古里とは縁の薄い転勤族を続けているう
ちに縁あって、実家とは遠く離れた地に木造の
注文建てのマイホームを持つこととなったが、
かっての木は利用することなく、詳しくは知る
よしもないが、当時の我が国の経済事情からして、
どこかの外材を使用したものと思われる。今は
亡き父の法事で帰ったついでに当時の山に行っ
てみると実に荒れ放題の有様で、親戚一同の顰
蹙をかったものである。
 さて、森林資源とともに、食についてもその
危機が叫ばれるなか、政府の無策かも知れないが、
田舎にあっては高齢化の進展とともに、都市部
にあっては不動産バブルの崩壊を受け、やたら
と放置された休耕田が目立つが、昨今の食に関
わる企業のCSRの見事なまでの欠如ぶりに鑑みる
と、外国の低賃金労働にあぐらをかくことなく、
コストが高く付いたとしても、その分、国内の
労働・消費市場の拡大にも繋がるところがあり、
衣食住の自給率を高めることが緊急の課題でも
あるように思われる。
 なお、余談ではあるが、整備された山野もい
いが、一方で人間の手の加わらない自然そのま
まの「トトロの山」もまた身近に共存していて
欲しいものである。