疾病予防とワクチン

             原  俊 雄

 昨年は新型インフルエンザがパンデミックな流
行になると厚労省に振りまわされ、医療機関はワ
クチン探しに奔走し、大量のワクチンが輸入され
たものの、流行の収束と共にワクチン接種希望者
は激減し多量のワクチンが余ってしまった。


 ワクチンは有効期限があるので、大部分は廃棄
処分されることになる。勿体無い話である。


 私たちの子供の頃はハシカの予防注射で痛い目
にあった記憶があるが、集団予防注射によりハシ
カは殆ど見られなくなっていた。


 然し、ワクチン接種率の減少と共にハシカは勢
いを盛り返し、一時、20~30万人の患者発生と
100人前後の死者を出す流行をみた。


 その後は予防接種をする人が増え、一昨年から
は略8000人前後の発生に収まり、改めてワクチ
ン接種の重要性が認識されることになった。


 西欧では治療よりも予防優先との考えからワク
チン接種にも積極的に取り組んでいるというが、
日本では皆保険で医療機関へのアクセスが良く罹
患してもすぐ医者にかかれる為か、ワクチン接種
に積極的とは言えないようである。


 諸外国では子宮頚ガンもHTV感染によるものと
分かってから、性交渉のない思春期前に公費負担
でワクチン接種を行う国も増えているが、我が国
ではワクチンが数万とかなり高くつくのでまだ公
費負担でのワクチン接種は進んでいない。


 最近、日本人の死因の4番目に高かった肺炎が
高齢者を中心に増えてきているが、肺炎球菌ワク
チン接種によって老人の肺炎罹患がかなり予防出
来ると聞いたので早速、薬問屋に聞いてみると、
今、肺炎球菌ワクチンは品切れ状態で2~3ヶ月し
ないと入荷しないと言う。


 後期高齢者となった今では、やはり寝たきりに
なり肺炎で亡くなるのは嫌である。何はともあれ
ワクチンを予約したが、保険が利かないのでかな
り高くついた。2本注文し3ヵ月後1本入荷、や
はり介護人に先立たれたら困るので、先ず高価な
ワクチンを家内に注射し、1ヵ月後入荷した残り
の一本を自分に打った。


 これで肺炎で死ぬ危険性は多少軽減されたかと
自己満足。呆けないようしっかり運動し、頭の体
操もしようと思うが晩酌は欠かせないし、後は自
然の摂理に任せるしかないであろう。