日本は劣化しているか ?

           原  俊 雄
 かつて連合国最高司令官として日本を占領統
治したマッカーサー司令官は1951年、退任に当
たり上院の聴聞会で『日本人はドイツに比べれ
ば12歳の少年みたいなものだ』と証言して私ど
もを憤慨させたものですが、日本の現状を見る
と60年前のマッカーサーの言葉は必ずしも不当
なものではないように思えるのは残念なことで
す。
 安保反対、大学紛争、インターン反対の頃は
まだ活力がありましたが、核家族、家庭崩壊な
ど社会基盤の変化から各家庭は孤立し、社会の
連帯感は失われ、孤独死、虐待など色んな家庭
内問題が噴出、中国と違って学生も内向き思考
になり海外留学希望の学生が減っているのも情
けないことだし、社会的発言も殆ど聞かなくな
っています。
 最近の尖閣諸島をめぐる問題にしても、その
対応のまずさから、中国は益々強腰になり日本
を攻め立てていますが、普天間問題で躓いた元
総理は要らんことを言ってかきまわし、官房長
官等関係者は判で押したように「国内法に照ら
して粛々と判断……」と繰り返すばかりだし、
中国の恫喝に屈した形で慌てて船長を釈放した
のも現地まかせで政治的な介入はなかったと、
政治家は政治責任を放棄したようなことを言う
し、一体どうなっているのでしょうか。中国と
戦略的互恵関係とは一体何でしょうか。
 これらのことは一言で言えばマッカーサー
占領政策が成功し、日本国憲法の平和を愛する
諸国民の公正と信義に信頼し、われらの安全と
生存を保持しようと決意した戦後教育の在り方
の問題に帰するものかも知れません。
 先日、防府青年会議所が主催した桜井よしこ
女史の市公会堂における講演を聴きに行きまし
た。桜井女史は右派の論客として知られ、教育
ルネッサンスと題し、尖閣問題に大部分の時間
を費やしながら、教育問題について、人は何の
為に生まれてきたか、日本は武士の国であった
し武士の志は何であったか、今こそ私達は何を
為すべきか考え行動すべきであると結ばれまし
た。
 講演の後、JC会員の3分間スピーチがあり、若
い経営者のしっかりした前向きの考えを聞いて
後期高齢者の私は何も出来ませんが、日本の将
来もまんざら捨てたものでもないと少しは気持
ちも軽くなって会場を後にしました。