英国歳時記“冬休み”

           藤 田 宣 久
 
年末年始を何処で過ごすかが家族の話題に上
る頃、ふと思い起されたのが初めて年末の冬休
みに滞在した英国での事、余りにも日本で知っ
ているクリスマス休暇との違いに途惑う事しき
りで有りました。
 公共交通機関はバス、地下鉄、鉄道全て休業
日ダイヤに成り、路線によっては運休も。主だ
ったお店もまず開いていません。
 依ってイブは御近所のパーティーにお邪魔す
るか(ご招待が有ればですが)、自宅で静かにデ
ィナーを楽しむかに成ります。
 明けて25日プレゼント交換の後BBC1で恒例の
“スノーマン”のアニメ番組、続いて放送され
る“女王陛下のスピーチ”を聞いた後、近くの
キャナル沿いの遊歩道を散歩して……クリスマ
スディナーを堪能する。信心深い方々は両日と
もそれぞれの教会の特別ミサへチャリティ会場
へと行かれるのでしょうが。
 当方の最大の楽しみは、この時期ならではの
高名な劇団、俳優、監督に成るオペラ観劇。前
売り券売り場に行列してでも観る価値は有りま
す。
 処で、クリスマスケーキってドライフルーツ
パウンドケーキだったのですね。一か月も前か
ら作り置きする事も有り、硬くなって不人気で
したけれど結構美味しく頂けます。
 明けて26日は祭日に成ります。前はキツネ狩
りの日でしたが、近年猟其の物が禁止に成った
と記憶しています。今はボクシングデイとだけ
書いて有ると思います。
 この日よりイギリス中のお店が最終処分セー
ルに突入します。各商店のウィンドウには更な
る割引と殴り書きしてあり、半額の半額で75%割
引なんて物も良く見掛けます。ロンドンのショ
ッピングモールやデパートは買い物客でごった
返していますが、殆どの人はメインランド(ヨ
ーロッパ本土)からの観光客で色んな言語が乱れ
飛んでいました。
 地元の方はこの時期余り居ませんし人込みは
避けている様です。
 31日ご存じ年越しパーティー、明けて1日は祭
日で新年のパレード、2日より呆気なく日常生活
に戻って行く様です。