「花燃ゆ」の狙いかも?

          澤 田 健 規
 いよいよわたしの出番、山口県の皆さんを群
馬県へご案内いたします。
 群馬県にある富岡製糸場が、世界遺産に登録
されました。(群馬県人でありながら、実は一度
も訪れたことがない) 
 富岡製糸場の建設・運営に楫取素彦初代群馬
県令が、大きく関わられたことも山口県とのご
縁を感じえずにいられない。そこで、生糸が織
り成すご縁について触れてみたいと思います。
 桐生で絹織物が始まったのは、700年代桓武
皇の時代です。桐生(現在の地名で表記)から一
人の男が京都に宮仕えに出された。
 かなわぬ恋としりながら、宮中の白滝姫に恋
した男は、天皇の前で見事な和歌の腕前を披露
して、白滝姫を桐生に連れて帰ることを認めて
もらう。
 桐生に移った白滝姫は、絹織物の技術を桐生
の人々につたえ、その技術が今でも桐生の地で
受け継がれているのだという。これが、白滝姫
伝説です。桐生では白滝姫のことを親しく織姫
さまと呼んでいます。ちなみに桐生市役所の住
所は、織姫町1丁目1番地。
 織姫といえば「七夕」です。桐生っ子は、織
姫は白滝姫で、牽牛(彦星)は都に仕えた桐生の
若い男であると育てられました。そして、「東
男に京女」のもとは桐生の男と京都の女である
と、教科書に載せられない都市伝説(作者:澤田
健規)もある。
 ただ単に良縁を意味することわざでなく、男
女の縁が産業を興し民を豊かにし国を栄えさせ
る。壮大なラブロマンスなのです。
 来年の大河ドラマ「花燃ゆ」の舞台は、群馬
県と山口県。主人公は文さんですが、両県のご
縁を取り持ったのは、楫取素彦初代群馬県令。
絹織物の近代化と国際化をはかり、今日の技術
立国日本の礎となりました。
 群馬県山口県は京都を中心にほぼ等しい距
離に位置します。世界遺産登録では群馬県が先
行しましたが、山口県も九州・山口の近代化産
業遺産群の登録を目指してがんばってもらいた
いものです。これも、「花燃ゆ」の大きな狙い
なのかもしれません。