「二度目のシンガポール」

          澤 田 健 規

 全日空機内誌コラムのパクリの表題である。
 7月、5年振りにシンガポールを訪問した。今
回は、社員旅行である。今年の新入社員5名をは
じめ入社年次の若い人が多く、社長が最年長で
あった。そのため、社員旅行というよりも修学
旅行・卒業旅行の様相を呈していた。おかげさ
まで、アルコールの摂取量も少なく心身ともリ
フレッシュした旅行となった。
 シンガポールは今年8月9日建国50周年を迎えた。
街中は建国式典のリハーサルや9月のF1レース
の公道サーキットの準備などで活気づいていた。
「Look Japan!」故リー・クワンユー首相の指
導力のもと、今日の礎を築いた。
 5年前もそうであったが、見習わなければなら
ないのは日本の方ではないのかと思った。狭く
資源のない国土でどのような国づくりをすべき
なのか、手本となるものが沢山ある。日本にあ
ってシンガポールにはないもの、電線(電柱)・
ガードレール・看板・渋滞、見事である。一体
日本のどこを見習ったのか?
 中でも仕事柄気に入っているのが、渋滞を起
こさせない電子料金収受システム(ERP)。ロー
ドプライシングシステム(有料道路)の一つです。
 たとえば、通勤時間帯は中心部への交通量が
増えるため通行料を課金する。それと合わせて、
電車バスの運賃を安くし公共交通機関の利用を
促進する。自ずと運転者は車の使用を控え渋滞
を抑制する。ERP自体も日本のETCとは違い100
%近い普及で、ゲート(出入り口)が必要なく、
センサーで感知するのみ。日本では高速道路の
普及も進まず、一般道への導入も検討段階である。
 5年前マクドナルド通りのシティバンクを訪問
した、そのとき対応してくれた青年の言葉が頭
から離れない。「私達シンガポール人がどれだ
け努力しても、日本人の精神性には追いつけま
せん」彼等が見習った日本人は誰であったのか?
 帰路福岡空港で税関申告を行った。彼らに尊
敬される日本人の一人でありたいからであった。