「イガワる」って?   石 谷  毅

 この原稿が活字になる頃にはセリーグの優勝
も決まっていて、日本シリーズは昨年同様中日
VS西武なんてことになっているかもしれません
(夢を見ない阪神ファンは、こういう状態〔今はマ
ジック3〕になっても、中日逆転優勝の可能性は
80パーセントと思っていたりします)。
 それはともかくとして、今シーズンのプロ野
球から生まれた「造語」の幾つかを紹介します。
ただし、実際に使われているかどうかは保証い
たしません。
イガワ(井川)る
 「彼にこの仕事を任せたいが、彼はどうもイガ
ワる傾向があるから使えないよ。」というよう
に使用します。つまり、「大事なところでこと
ごとく期待を裏切る」という意味です。井川君
には汚名返上を期待したいところですが、心は
既に大リーグにありますからそれも無理でしょう。
きゅうじ(球児)られる
 本当は「牛耳る」と言いたいところですが、「ど
うも最近球児られて荷が重たいよ。」というよ
うに使用します。つまり、イヤと言えない気の
弱さにつけこまれて無理難題を押し付けられる
ことです。最多登板記録といってもそれほど価
値のあることではありません。今年阪神が優勝
するとすれば、その立役者は「藤川球児」でし
ょうが、彼の永い野球人生、また素質を考えると、
こういう使われ方は彼のためにはならないので
はないのでしょうか。
タオ(田尾)る
 「最初から無理を承知で引き受けたんだけどね。
やはりタオっちゃった。」というように使用し
ます。口出ししかできないオーナーや何もしな
いフロント……本当は自分の責任でもないにも
かかわらず周りから詰め腹を切らされたという
無念さが込められています。
 これとは逆に優秀な人材や恵まれた環境を与
えられながらも、それを生かしきれないことを「ツ
ネオ(恒雄)る」の方でしょうが。{{