日本語って難しい 加  藤   稔

      
 いやはや日本語とは難しいものだ。社会人に
なってすぐの新人研修会には、社会人としての
モラルやルールをたたきこまれたものだが、ま
ずは言葉の使い方だったように記憶している。
 手紙では、目上の人には「様」、同等以下(事
務書面上)ならば「殿」を用いる。電話の応対で
は、「部長さん、いらっしゃいますでしょうか?」
に対して「部長さんは今、いらっしゃいません。」
……ダメ対応の代表でもあるが、意外によく耳
にするのが現実だ。
 テレビ番組では、誰かれ構わずため口で話す
外人を面白がって取り上げたりしているが、当
の日本人だって、決して笑えない言葉の使い方
をしていることが多い様に思う。
 日本語が乱れていると言われて久しいが、最
近では「やばい」など本来と真反対の意味で使
われている言葉や、携帯電話のメールでは顔文字、
絵文字が多用され、「了解」くらいしか返信メ
ールしない私には、もはや暗号としか思えない
ような言葉で若者たちと会話している。
 言葉の乱れとは関係ないかもしれないが、子
供の命名もルビが無いと読めない名前が多くなり、
言葉は時代と共に変遷する生きものだと痛感す
る今日この頃である。
 日本人に生まれ、他国語は満足に喋れない私
などは、せめて正しく美しい日本語を喋りたい
ものだ。
 冒頭の「社長さんは今、いらっしゃいません。」
ではないが、サラリーマン川柳でこんなのが大
賞になっていました。
「課長居る?」返って来た返事が「いりません」