素直に生きる

            益 田 清 貴
 防府RCに所属して初めての正月を迎えました。
今年は戌年、私の干支であります。
 願みますに昨年は私にとっていろんな面で試
練の年でございました。プライベートなことも
然る事ながら、仕事面では柳井から、ここ防府
に転勤となり、順風満帆、何事もなく前進する
ものと考えておりましたが、現実には私の前に
いろんな障害となるものが立ちはだかってきま
した。思うように進めない自分に、僅かながら
でも焦りが生まれたということは、紛れもない
事実となりました。
 しかしながら、年男となった今年は心機一転、
素直に生きようと考えています。
 逆境――それはその人に与えられた尊い試練
であって、この境涯にきたえられてきた人はま
ことに強靱であります。古来、偉大なる人は、
逆境にもまれながらも、不屈の精神で生き抜い
た経験を数多く持っていると言われています。
 まことに逆境は尊いものです。しかし、これ
を尊ぶあまりに、これにとらわれ、逆境でなけ
れば人間が完成しないと思いこむことは、一種
偏見となってしまうこともあるとのこと。
 逆境は尊い。しかしまた順境も尊い。要は逆
境であれ、順境であれ、その与えられた境涯に
素直に生きることであると教わりました。即ち、
謙虚の心を忘れぬことであるそうです。
 素直さを失ったとき、逆境は卑屈を生み、順
境は自惚を生む。逆境、順境そのいずれも問わぬ。
それはそのときの、その人に与えられた一つの
運命であって、ただその境涯に素直に生きるの
がよいそうであります。
 素直さは人を強く正しく聡明にします。逆境
に素直に生き抜いてきた人、順境に素直に伸び
てきた人、その道程は異なっても、同じ強さと
正しさと聡明さを持てることができるものだそ
うです。
 おたがいに、とらわれることなく、甘えるこ
となく、素直にその境涯に生きていきたいもの
であります。