暦について

          倉 員 謙 作
 
 皆さんはどんな暦、カレンダーをお使いでしょ
うか。我々の日常は手帳に始まり、様々な暦が欠
かせません。
 21世紀の我々は暦を単なるスケジュール管理と
して考えています。何か約束をするために必要だ
と言えるでしょう。それは仕事の約束だったり、
家族との約束だったり、自分自身との約束だった
り…………。
 しかし日本には昔、季節の暦「太陰暦」があり
ました。旧暦というものです。人々が農業を中心
に生活し、暮らしそのものが自然と一体だった頃、
最も身近な天体である月の満ち欠けを利用したも
のです。
 太陽の周りを回る太陽暦と比べると一年の間に
は誤差が生じますので、調整が必要になります。
 今年は13ヶ月あって、閏7月が7月と8月の間に入
ります。暦によると秋は7月から9月なので、今年
の秋は夜だけでなく期間も長いようです。
 新暦7月25日が旧暦の7月1日で、8月25日に一度7
月30日を迎えた後、翌日は閏7月1日になります。
新暦の9月21日が閏7月29日で終わりです。旧暦の9
月30日は新暦では11月20日です。つまり、新暦
言えば7月25日から11月20日までが秋となります。
 テレビのニュースを聞いていると、季節の変わ
り目にある節句などで、時々新暦と旧暦のどっち
で言っているんだ?とわからなくなることがあり
ます。旧暦の日付をそのまま新暦に当てはめた、
お正月(1月1日)、ひな祭り(3月3日)、端午の節
句(5月5日)。あるいは旧暦の日付は関係なく意味
新暦に持ってきたもの、中秋の名月(旧暦の8月
15日、秋の真ん中、今年は10月6日、ちなみに去年
は9月18日)
 そして旧暦のままでは時期的に都合が悪いと日
付だけ新暦で1ヶ月遅れにしたもの、七夕(7月7日
を8月7日へ)、お盆(7月13日〜16日を8月13日〜16
日へ)など………ちなみにこのような現実的な解
決方法を民俗学的には「中暦」といいます。
 これは農繁期に重なるのでずらしたりするためで、
今でも都会は旧暦の日付、地方は1ヶ月後のように
ずれているものがあります。七夕は出身地の八女
では8月7日でしたが、就職した時平塚では7月7日
でした。
 日本人は器用なので、こんな芸当ができるので
しょう。お隣の韓国や中国では仕事は太陽暦でお
こなって、生活は太陰暦でしています。お正月な
ども旧暦でやるので、1月下旬ですよね。実際はこ
の方法の方が生活には合っているのではないかと
思います。
 そうすれば少なくとも桃の節句なのに、梅しか
咲いてない……とか、端午の節句なのに菖蒲がな
い……などという変なことは起きませんから。
 秋の夜長、中秋の名月を眺めながら、先人の季
節感に思いを馳せてみませんか?