右田ケ岳礼賛

  
          原  俊 雄 
 
 右田ケ岳は標高426メートルの小ぢんまりとし
た山ですが、登山のあらゆる魅力、要素を備え
た山だと言われ、山登りの好きな多くの人を惹
きつけています。
 登山道は幾つかあるようですが、天徳寺の山
門左脇から登るのが一般的のようです。
 天徳寺裏の墓石群を抜けて階段状に登ると古
ぼけた観音堂があり、累々とした巨岩に彫られ
た観音像や見事な磨崖仏ありで変化に富んだ登
山道と、殆ど稜線の直登なので脚力を要しますが、
グイグイ高度を稼ぐにつれて展望が開け、防府
平野から周防灘に広がる俯瞰は何度登っても見
飽きる事がありません。
 先ず、第一のピーク石船山山頂からの防府
野の眺望が素晴らしい。そして花崗岩砂の鞍部
をすべるように下りシダの尾根道から急坂をよ
じ登りピークを回り、更に一喘ぎすれば主稜鞍
部の木陰径で一息つける。右に上れば主峰、左
には鎌倉末期に築城された右田ケ城跡がある。
いずれにしても多くの魅力を持ち、しかも手軽
に登れる山だからこそ人々を惹きつけるのでし
ょう。
 右田ケ岳はホームページを持っています。廣
永さん管理のホームページは盛り沢山。1000回
登山はざら、5000回、8000回から1万回登山と言
う豪の者もおられるから驚きです。他の山の登
山記録も多く四季折々の美しい花の写真も彩り
を添え楽しいホームページになっています。
 山頂に目を凝らすと、風にはためく白い旗が
見えます。日の丸の旗を毎日揚げ、夕方には降
ろしに登る方が居られるというからこれも驚き
です。
 10月8日体育の日、法人会の山頂標識除幕登山
に同行して塚原口から登りました。塚原口は初
めてでしたが、林間のなだらかな登りから岩登
りまで変化に富んだ中高年向きの登山道になっ
ていて、ここなら私でももう暫くは登れそうで
した。
 右田ケ岳の見える迫戸に移り住んで10年。我
が家から見える右田ケ岳は四季折々の姿で安ら
ぎと癒し、そして力を与えてくれます。朝焼け
に赤く染まる岩肌の輝き。秋の夕暮れに厳しく
映える山襞。流れる霧に悠然と浮かぶ山頂。春
夏秋冬、そして日々に表情を変える山容は毎日
眺めても飽きることはありません。登ってよし
眺めて良し。右田ケ岳は我が郷土が誇る名山と
言えましょう。