薩摩のイチロー 〜アラ還からの能力開発〜

          東  佳 範


 野球がお好きな方は多いと思う。見るだけでな
く未だ現役で活躍されている諸先輩もいらっしゃ
る事だろう。生涯スポーツと言う言葉を聞き始め
てかなり経っている。以前は剣道がその代表的な
ものと思っていたが、今は野球もかなりの歳まで
できると思っている。運動音痴の私ですらロータ
リークラブのチームの末席を汚しているのである。
 最近新聞でアッと驚く記事が有ったので紹介す
る。 鹿児島市のバッティングセンターで9年間
に2000本のホームランを打った70歳のご老人が
いる。 人呼んで「薩摩のイチロー」、満山一朗
さんと言う方で61歳から運動不足解消のため始
めたのであるが野球の経験はほとんど無いとの事。
テレビでも紹介されたらしいのでご覧になった方
も多いと思う。
 バッティングセンターに行かれた方ならご存知
であろうがホームランは直径1メートル未満の的
に当てる事である。これを昨年1年間で444本打
っている。それも軟球であるが140kmの快速球
ホームランしているのである。中には惜しい当り
もあろうし、グランドでは充分ホームランやヒッ
トになった当りもあろう。
 満山さんの記録はバッティングセンターの中の
ことであるから、実戦で変化球や緩急を付けたピ
ッチングの前であのような打撃が出来るかどうか
ではあるが、そんな事は議論する必要の無い事で
ある。70歳のご老人が140kmの速球を百発百中
に近い確率で打ち返している事実であり真似ので
きる人はあまり居ないと思う。
 凄いと思うのは未経験の事を60歳越えて始め、
自分のもの(それを遥かに超えているが)にして
いる事である。人間には能力差はあるが個々の能
力の種類は異なり、自分自身が全く気付かない凄
い資質が眠っているかもしれない。ちょっとした
きっかけで違う人生が開けてくるかもしれないの
である。
 弊社では50歳を越えた男女がパソコンを会得
したことがある。今と違い十数年前のことである。
 男性社員のきっかけは工場移転祝いに頂いた電
子手帳、彼はそれに部品番号を入力し1ヶ月後に
はさらに大きい電子手帳、1年後にはワープロ
さらにパソコンまでそろえ、マクロを組むとこま
でやっていた。
 私事であるが以前ソフトボールをやっていた事
がある。2年間位毎日素振りをしていると筋肉が
付き、不思議とボールが良く見えるようになった。
 ウインドミル快速球がスローモーションでホ
ームベースに入ってくるのを感じていた。代打で
あるが8打席連続ヒットを打ったことがある。ま
た素振りを始めてみたいと思う。薩摩のイチロー
ならぬ日出処(東)のイチローになれるか!?