情報リテラシーの涵養

          倉 員 謙 作

 仕事上IT関連の相談で、使ったことがないソ
フトの質問を受けることがあります。
 その業務についてあまり知らない時もあります。
しかし画面を操作していると大体のことはわかっ
てきます。相談者は「どうしてわかるのか?」と
不思議がりますが、「画面を見れば書いてある」
といっても、それが不思議なようです。
 もともとwindowsのソフトは操作性をできるだ
け似せて作るということが守られていますし、操
作の手順として当然しなければならないことは共
通なのですが初心者の人には驚きのようです。
 また機器のトラブル解決では適切に解決できた
場合などは大変喜ばれ、そしてなぜわかるのかと
不思議がられます。症状を見てどこが原因なのか
を探るわけですが、ここでも問題発見の能力(リ
テラシー)が求められます。
 どんな仕事でもそうだと思いますが、起こりう
るすべてのことに対する方法を覚えておくことは
できません。その場その場の情報を総合的に判断
して対処されると思います。
 その基本能力を英語で「リテラシー」と呼びま
す。学問で言えば「読み・書き・そろばん」のよ
うなものです。どんなことをするにも絶対必要な
基本能力のことです。
 ITに関しても同じことです。「情報リテラシー
ということになります。ITを使いこなすために
は当然必要となる基礎知識・能力があります。そ
れを身につければ、どう操作するかという話はそ
れほど重要ではなくなります。余裕のない初心者
はたとえ画面に表示されていても、たくさんの情
報の中から必要なものに焦点を合わせることが難
しいようです。不要な情報を捨てる力、これも情
リテラシーに含まれます。
 私が常々心がけていることは、人にパソコンの
使い方を聞かれたら単に操作を教えるのではなく、
「今やっていることの意味を理解して下さい」と
言うことです。
 「情報リテラシーの涵養」に貢献する、それこ
そが私の目標です。そして次なるステージとして
は自らが「経営リテラシーの涵養」を行うことで
す。もし経営者としての基本知識・能力を身につ
けていたらどんなに周りの環境が変化しようと、
まったく恐れることも無いだろう、当然のことの
ように「最善の道」を選べるのではないかと漠然
と感じています。それはとてもすばらしいことだ
と思えるからです。一日も早くこれらの能力を身
につけたいものです。