料理屋のひとりごと(夏編)

 週報担当となってしまい、原稿不足のとき
は、料理屋のひとりごとシリーズを掲載したい
と思います。季節の訪れを感じる食材を挙げて
みます。皆様方におかれましては、寄稿にご協
 力をお願いする次第でございます。
 [夏]
 梅雨の雨にうたれ 脂ののってくる鱧が代名
詞でしょう 関西では夏祭りと言えば鱧となる
くらい 夏には欠かせない魚です。昔は魚を活
きたまま海のない京都まで運ぶのは至難の技で
したが 鱧は生命力が抜群に強いため京料理
代表格になりました。
 一方山口県では、調理の大変な鱧を使うより
は、鯛、平目、青魚といった新鮮な魚が豊富に
獲れていたため、鱧は見向きもされない魚でし
た。
 某商工会議所会頭の飲んだ席での思いつきの
ような発言から、防府料理組合が中心となり
「天神鱧」のブランド化へと進んできました。
 勿論それまででも鱧は夏の献立には1,2品は組
み込んでおりましたが、ここまで鱧に取り組ん
できますと、今まで知らなかった鱧の特性や調
理法、保存法など新たなことに色々と気付かさ
れます。
 はしりの鱧 5月10日頃鱧漁が解禁となり、小
ぶりの鱧が水揚げされるようになります。この
頃の鱧はまだ脂がのってなく、非常に淡白で骨
も柔らかく、湯引きでふわふわした柔らかさを
楽しんで頂きます。
 旬は梅雨明け 梅雨の雨に打たれ、脂がのっ
てきて鱧のシーズンの初まりです。8月の鱧は鱧
しゃぶ良し、炙り良し、寿司良し、どのように
調理してもおいしく頂ける時期です。
 9月に入り産卵期を迎え落鱧となります。強い
脂も落ちてきて、鱧自体の香りが強くなりま
す。今では中国から松茸が入りますから、土瓶
蒸しが最高でしょう。
 鱧しゃぶよりも評価されるお客様が多いのも
事実です。9月20日の禁漁で今年の鱧のシーズン
は終了です。
 鱧は骨切りが大切だと一般的にはよく言いま
すが、骨切りは当たり前のこと、まず、丁寧に
正しく鱧をおろすことが大切だと私は考えてま
す。
正しく扱える料理人が意外と少ないのが現状で
す。今後も鱧塾で質の向上に努めたいと思いま
す。
  中 谷  泰  電 話 0835-24-3000
           ファックス 0835-24-3001