今日私はリンゴの樹を植える

        羽 嶋 秀 一

 日本の全国土における森林面積はおよそ66%を占めています。それでもなお緑化は推進されます。
 なぜか、CO2を固定するため?住宅供給のため?はたまた温暖化防止の抑止力として?どれも間違いではないでしょう。
 角度を変えて考えてみましょう。もし、家の中から一歩外に出た時に世界中の緑が消えてしまっていたら……
 山は石と土がむき出し、もちろん庭木や街路樹さえもなく、日頃は見るのもいやな雑草までもがなくなっていれば、もしかして一瞬喜びの気持ちが湧くかもしれません。でも、緑のないそんな地球で私たちは生きていけるのでしょう
か。
 答えはきっとあなたが外に出た瞬間にわかるはず。
 「お花は好きだけど虫は嫌い」「庭木は素敵だけど雑草に困る」「紅葉は綺麗だけど落ち葉
は面倒」どれも、人が生活をする上で厄介な問題です。
 しかし、緑は決して無用の長物ではなく、人にとっても、地球にとっても切り離すことのできない無用の用であることは間違いありません。
 だから 「明日世界が滅びるとしても今日私はリンゴの樹を植える」 ドイツのマルチン・ルターのこの言葉が世界中に知られているのでしょう。
 つまり、「緑化」は国や自治体に任せるものではなく、建て前や理屈で行なうものでもない。
 すべての人々がより良い未来の為に緑化に携わっていくことが理想ではないでしょうか。
 緑が大切という理屈より、誰もが緑にやすらぎを感じられる活動を続けてまいります。