星の写真、撮ってます。

        尾 崎 陽 一
 
 小惑星探査機「はやぶさ」が、60億キロの旅をし、小惑星イトカワから試料を持ち帰り、日本の技術力、システム構築能力の高さを世界に知らしめている昨今、というわけでもないが、星の写真を撮るのがマイブームになっている。
 きっかけは、今夏の盆休み、暇になった深夜にインターネットをブラブラ観ていたときに出会った、とあるサイトの星雲写真。銀河の一部を雲海のごとく写し撮ったその写真を見て、その昔、天体望遠鏡で夜空を眺めていた時代を思い出したのがきっかけだった。
 この手の写真を撮ろうとすると高価な機材と高度なテクニックとが要求されるものだと思い込んでいたのだが、ネットで調べると家にあるデジカメと望遠レンズ+αの機材とで十分な写真が撮れそうだった。
 そこで、手持ち以外の必要な機材をネットオークションで安く手に入れ、いざ!撮ってみた。
…つまらん…。実につまらない写真が撮れてしまった。
 星は写っているが、ただそれだけ。ネットで見つけた写真はおろか、昔、秋穂中道の海岸で観た夏の銀河の感動にも程遠い出来の写真だった。だが、これで火が点いた。
 趣味は、結局、努力と根性。高価な機材が買えないならテクニックを磨くしかない、と時間
の空いた週末の夜は、ひたすら星を追いかける技術力の向上にいそしんでいる。
 最近は、コンピューター制御でカメラも望遠鏡もコントロールできるので、昔のように手で星を追いかけなくても良いが、精度の高い追尾を行うためにはそれなりのテクニックが必要とされるのだ。
 12月も半ばを過ぎ、目を南東の空に転ずれば、そこには大きくオリオン座がかかっている。
 目の良い方であれば、その中心より下にずれたところに淡く瞬くオリオ大星雲が観望できるはず。
 複雑な形状と色合いのオリオン大星雲付近。
この冬は、なんとかこれを写し撮りたいものである。