相続税について

         久保田 健介
  
 平成23年税制改正大綱には相続税の大幅な変更(基礎控除の引下げや税率の見直しなど)が盛り込まれている。そのまま実現すれば課税対象件数が増加するのは確実である。
 死亡者全体に対し相続税の納付件数は現状4.2%程度だが、今回の改正で6%程度になる見込。
 バブル期が7%近かったことを考えると一定の合理性はある。因みに首都圏では全国平均の2倍程度(9.1%)の現行水準が30%前後になると言われている。
 それは大変だと相続税対策に走るか、地方ではそれほどの影響はないと考えるかはそれぞれだが、税制がその時の経済情勢他に影響されることを考えると、税対策には限界がある。
 一方で分割対策や相続手続対策は税制改正に関係なく今から取り組むことができる。
 家裁の相続関係手続相談件数は16.6万件(H8年6万件)、遺産分割調停件数1.1万件(H8年0.8万件
)と課税対象件数の減少と反比例し増加傾向にある。
 相続財産は各相続人が単独で処分できないため遺産分割協議が必要となり、協議が整わなければ調停・審判(家裁へ)となる。揉めないために誰に何を残すかを明記した遺言書があれば、即時相続手続きを開始することができる。(分割
対策) また、相続手続きはとても煩雑で、ご高齢者や多忙な方には大きな負担となる。遺言執行や
遺産整理を第三者に任せることで相続手続きを確実なものにできる。(相続手続対策) いずれの対策も信託銀行の得意とするところ
であり、ご活用いただきたい。