季節をたのしむ 料理屋のぼやき(夏編)

        中 谷  泰
 
 今年は年明けから不運続きで嫌になりますが、頑張ります。
 昨年は鱧でいったので今年は冬瓜についてお話いたします。
 冬瓜は冬の字が入りますが、夏の野菜です。
冬まで持つ貯蔵性の良さから冬瓜と呼ばれます。どちらかというと淡白ですが甘味があります。表目にうぶ毛のあるものが新鮮なものです。冬瓜の皮(青い部分)は堅いので包丁でむきますが、ここでひとつポイントがあります。皮と身の間に薄いセロハン状の膜がありますので、ここを取らないと食べた時、口に残ります。また、むきすぎると折角の青い色が無くな
り涼感がなくなります。
 むいた冬瓜は真ん中の種の部分を外し、塩ゆでします。料理屋では、むいた後表面に重曹と塩を刷り込み、しばらく置きその後ゆでます。
こうする事によって表面がやわらかく、より青く仕上がります。青色の部分は熱に弱いのでゆであがったらすぐ冷水に落とし冷やします。青臭みを抜くために少し水でさらしておきます。
 冬瓜は表面の青色を活かす為に煮含めません(火をいれません)。冷ました出しに漬けます。出しを作り、作った出しを半分に分けます。二度漬けするためです。ですから漬ける量の2倍の量の出しを作ります。冬瓜は煮含めるのでは無
く、冷たい出しに冷蔵庫で4,5時間つけ、一端漬けている出しを捨て、もう一度半分に分けて取って置いた残りの出しに、もう一度つけます。
2,3時間漬ければ出来上がりです。冷蔵庫で冷たくして食します。水分を多く含んでいる野菜はこのように二度付けするのが普通です。二度付けする事によって出しの味が薄まることなくしっかりした味で含める事ができます。
 出しの分量ですが、出し8に対してみりん1、薄口醤油1(濃い口醤油では野菜の旨味が引き出せません)出来た出しにもう一度鰹節を入れます(追い鰹)。出しは、鰹と昆布で取ったものがベストですが、市販の出しの素で代用しても結構
です。隠し味におろし生姜を少し乗せてます。
 冬瓜の上に玉味噌をおきその上にお好みの具をトッピングしてください。
 牛肉や牛タン、シラス、なんでもOK!
 青柚子を振って出来上がりです。
 暑い時、ビタミン、ミネラル豊富な冬瓜を食べ夏を乗り切ってください。柚子の香りも涼感
を誘います。