土地の話

          片 岡 謙 一

 防府市は、地価が山口県内で最も下落してい
ますが、「土地の値段」について考えてみま
す。
 もともと、土地は唯一無二のものであり、需
要と供給によって価格が決まります。
 一般的に「相場」と言われている「公示価
格」は、不動産鑑定士さんたちが不動産会社等
に実際の売買事例をヒアリングして、基礎とな
る数値を出しているようです。従って、土地価
格の「相場」を下げているのは不動産会社とい
うことになります。
 防府市はもともと平野が広く田が多くあるた
め、子供が農業を継がない場合に、多くは売却
されて住宅地へ造成されることが多くありま
す。また、防府市は市街化区域(都市化を進める
区域)と市街化調整区域(都市化を抑制する区域)
に分けられていて、調整区域にはそもそも住宅
地を作ることが出来なかったのですが、平成14
年に、一定の条件が整えば住宅地とすることが
可能になりました。
 この変更により、住宅地として利用できる面
積が広がり、土地価格の下落に拍車をかけたと
も言われています。
 土地も他のいろいろな商品と同様に需要と供
給のバランスで価格が決まりますから、調整区
域分の供給が多くなれば、それに伴って地価が
下落します。(ここでも、売る側が価格を維持す
れば下落しませんが……)
 まだ、私が防府市に帰っていないころには、
今では考えられないような高値で土地が売買さ
れていたようですが、現在では当時の5分の1ぐ
らいの価格になっているケースもあります。
 話は変わりますが、土砂災害警戒区域という
のはご存知でしょうか?国交省による一定の基準
で指定されるのですが、防府市での指定の際に
説明会を開いたところ、「指定されると困る」(
土地の値段が下がる)という声が多く、なかなか
公にならなかったみたいです(土砂災害後はマッ
プが配布されました)。土砂災害警戒区域に指定
された場合の地価との下落は、断言はできない
のですが、2割程度の評価減ではないかと思われ
ます。
 警戒区域に、自宅が入っているかどうかを知
りたい方は、山口県のホームページで見ること
ができます。