認知症について

          水 津 信 之

 認知症とは脳の病気によって記憶や判断能力
などに障害が起こり、社会生活に支障をきたす
状態を言います。現在日本の認知症患者は約170
万人で20年後には300万人になると予測されてい
ます。認知症の種類としてはアルツハイマー
認知症脳梗塞脳出血くも膜下出血などが
原因で起こる脳血管性認知症、ピック病、レビ
ー小体型認知症プリオン病(クロイツフェル
ト・ヤコブ)、アルコール症、肝性脳症などによ
るその他の認知症に分類できます。
 認知症の症状は主に中核症状として道に迷
う、食事をした事を忘れるなどの記憶障害が中
心ですが、周辺症状として物取られ妄想、夜間
せん妄、うつ状態睡眠障害なども見られま
す。
 認知症にならないためには規則正しい食生
活、野菜、魚を中心に毎日三度の食事を摂取す
ること。食事は腹八分目、水分を十分にとるな
どの栄養面に気をつけて生活習慣病を予防する
ことが必要です。また散歩や軽いジョギング、
森林浴などでリラックス、ストレッチングで筋
肉を伸ばすなど適度な運動も必要です。
 但し運動するときには無理をしないよう注意
しましょう。さらに気分転換も大切です。日々
の暮らしの中で、ちょっとした心がけを持ち、
書道や囲碁など楽しめる趣味を持つことや家族
や友人との会話を楽しむこと、脳トレなどのク
イズで遊ぶことも試みましょう。昼寝は1日30分
以内にしてください。
 記憶があやふや、大切なものをなくしたりす
る、同じことを何回も言ったりする、どうもや
る気が出ない、服装がだらしなくなった、今ま
で出来ていたのに簡単な計算間違いが多くなっ
た、性格が変わった、些細なことで怒りっぽく
なったなどのちょっとした変化を家族の方から
言われたり、自分で気づいたら注意して下さ
い。
 認知症の介護の仕方を説明します。朝食を食
べたばかりなのに「ご飯まだ?」などの記憶障害
には「さっき食べたでしょう!」と説得しても、
かえって反感をもたれてしまいます。「ちょっ
と待っててね」と言って、話題を変えたりして
対応してください。誰も盗むはずがないのに
「財布がない!」などの物盗られ妄想には「それ
は困ったね、一緒に探そうか」と言って見つか
ったら一緒に喜び、同じ感情を共有することで
す。 毎晩のように尿失禁、便を手で触りまく
るなどの失禁・不潔行為には厳しく叱責するこ
とは逆効果です。本人の"失敗したことを隠した
い"という羞恥心や自尊心のあらわれであること
をよく理解してあげてください。性格が変わっ
たように怒りっぽくなるなどの人格変化には感
情コントロール能力が低下していたり、自分の
思いを上手に表現出来なくなっていると考え
て、介護者が冷静になって対応することが大切
です。認知症の治療には薬物治療と介護者や家
族の関わりがありますが、家族のサポートがと
ても重要です。毎日認知症の方の介護をしてい
ると、ご家族の方も疲れきってしまいます。地
域のリハビリテーションセンターやデイケア
デイサービスなどの公共のサービスを利用し
て、なるべく一人では悩まないようにしましょ
う。