「きしゃ」 「でんしゃ」

                     
          井 藤 憲 彰

 孫が三歳になる前から東北地方を走る新幹線
の列車の名前を、一目見るだけで当てていまし
た。「はやて」「こまち」「やまびこ」「はや
ぶさ」など。
 孫の自慢を毛頭する気はありませんが、やは
り周り(といっても外孫ですが)に鉄道関係が好
きな人間がいるとそうなってしまうのでしょう
か。
 ところで、鉄道の列車をついつい「きしゃ」
という世代と「でんしゃ」という世代が微妙に
別れていることには皆さんも気がついているこ
とでしょう。
 勿論、小生も「きしゃ」派です。「きしゃ」
は「蒸気機関車」から来たものでしょうが、今
現実に「きしゃ」が走っているのは山口線や大
井川鉄道などのようにある意味でイベントとし
て走っているのが主で、それが日常的に旅客車
両の牽引の機関車になっているところはないは
ずです。
 では「でんしゃ」はどうでしょうか。「でん
しゃ」とは当然、電気の力で走る列車のことで
す。
 それでは、「電車」というとどういう形をイ
メージするでしょうか。殆どの人が、人が乗る
車両が繋がっている山手線とか京浜東北線や山
陽線を走る列車を思い出す人が多いと思いま
す。
 ここが問題なのです。蒸気機関車や電気機関
車に引っ張られている列車以外を「でんしゃ」
派の人はみな、それらを「電車」と呼びます。
 しかし、近くでいうと、山口線岩徳線、美
祢線などは電車ではありません。ではなにか。
それは「気動車」です。ディーゼルを動力とし
ているものです。
 国鉄時代、気動車王国といわれた四国は現在
一部電化されています。(非電化地域が田舎だと
言っているのではありませんよ、四国出身の人!)
 非電化区域に旅行に行って「今度の電車は
……」という言葉は疑問です。
 むしろ、「今度のきしゃは……」という方が
正確かもしれません。何故なら「気動車」「気
車」だからです。
 それほどこだわっているわけではありません
が、せめて孫には「蒸気機関車(SL)」「電車」
電気機関車」「ディーゼル機関車」「ディー
ゼル車」の違い位は知っていて欲しいとねがっ
ています。
 なんといっても、防府ロータリー鉄道研究会
員の孫ですからね。