「あなたと夜と音楽と♪」

兵頭正顕

　天満宮の豆まきから早1年。知命はおろか不惑にも未だ達せぬ境地に痛感しながらも、ふとある宝物に気付きつつある今日この頃です。その宝物は「音楽」です。

　昭和44年に牟礼幼稚園に入園しましたが、音楽との出会いは母の半ば強制で始めた「オルガン教室」だったと確信しています。母はすぐにアップライトピアノを買ってくれました。幾度学園現理事長のお話によれば、音楽教室は今も盛んなようで実に喜ばしいことですが、こうした母のお陰で私自身、貴重な幼児体験を積むことができました。

　一方父は音楽こそ裕次郎・民謡などの「古典派」で見向きもしませんでしたが、全く別の分野で受け継いだのが映画でした。淀川長治や萩昌弘などのテレビ洋画劇場で国籍・時代・ジャンルを問わず父と楽しみました。中でも忘れられない映画は、小4の時に観た「グレン・ミラー物語」。美しい旋律と軽快なリズムに一発で心を打ち砕かれ、同楽団のLPを父に買ってもらいました。「映画音楽」はそれ以降大きな財産になります。今にして思えば映画音楽を契機にジャズやブラフォー、サイモン&ガーファンクル等を聴いていたマセガキでした。勢い中学生になるとアリスや中島みゆきの爆発的人気でギターを手にすることになりますが、当時の熱中が今のギターの原動力になっています。

　話を戻しますが、幼少時代の二つの経験〜「オルガン教室」と「映画音楽」。二児を持つ父としての経験をどう伝承すべきか、と思いは募れど…長女は「嵐」、次女は「AKB48」に傾倒しているのが実状で、帰郷の度「現代音楽」の指導を賜っている有様です。

　表題の「あなたと〜♪」は有名なジャズスタンダードナンバーです。或る夜のこと、某料亭経営者とグラスを酌み交わす中、偶然発見したお互いの「かくし芸」。そんな思い出を題名に込めました。中谷さんありがとう。そして皆様これからも素敵な夜を時間の許す限りロータリー活動とともによろしくお願いいたします。