中高年のロービジョンケア

            松 本  和

 病気やけがで視力が低下したり視野が狭くな
ったとき、治療効果が不十分で視覚障害が残る
ことは多々あります。これをロービジョンと言
います。しかし眼を全く使えなくなるとは限ら
ず多くの場合、視機能(視力、視野、色覚)が少
なからず維持されています。この視機能を活用
して日常生活を送れるように支援することをロ
ービジョンケアと言います。
 一般的に視力が0.01以上あれば、眼を使った
生活ができるし、0.01以下でも眼を使わない新
たな生活様式で生活することができます。
 視覚障害者(身体障碍者取得相当)を調査した
「不自由を感じる事柄」では、移動31.8%、情
報17.0%、食事13.8%、仕事8.8%、住宅7.5%
でした。
 これらの解決法は
? 移動:白杖の使用または介助者を付ける。 
 日常よく訪れる場所への安全な移動法を調 
 べてそれを守ること。
? 情報:文字による情報が困難なため、テレ 
 ビやラジオ或いは家族からの情報を得るこ 
 とになりますが、十分とは言えません。是 
 非ともインターネットを使いこなせるよう 
 にして下さい。また文字拡大鏡で、ほとん 
 どの読み物が読めるようになります。
? 家事、食事:生活訓練を行ってくれる専門 
 家の指導を受ける。
? 仕事:就労の継続や復職を考える。
  NPO法人「タートル」やハローワークが相
  談に乗ってくれます。
 ロービジョンケアが必要となる主な原因は、
緑内障 (視野狭窄)、糖尿病網膜症(眼底出血)、
網膜色素変性症(夜盲、視野狭窄)、加齢黄斑変
性(周辺は見えるが中心は見えない)、外傷等で
す。
 最近特に注目されているのが加齢黄斑変性
で、60才以上の男性に多く見られます。これは
眼の網膜(カメラのフィルムにあたる組織)の中
心部の黄斑に異常な老化現象が起こり、視力が
低下する病気です。少しでも気になる症状があ
れば、眼底検査を受けることを勧めます。
 予防が大切ですからタバコを止め、亜鉛や抗
酸化ビタミンを多く含む食物、緑黄色野菜を摂
り、
赤外線から眼を守りましょう。