まちつくりを想う

 
           永 井 晴 彦

 ここ山口(防府)に来て約半年、お客さまとの
会話の中、当地の土地柄について「保守的だか
ら」という言葉がよく出てきます。
 業務柄お金のことに関しても保守的だなと思
うことはままありますが、土地柄の問題とアク
ティブシニア(元気なシルバー世代)の減少とい
う問題は分けて考えなければいけないと思いま
す。
 ご承知の通り団塊世代の退職により日本はこ
れから未曾有の急激な高齢化社会への対応を要
する局面に突入しています。高齢化率全国上位5
位以内が定位置となっている山口県はその「フ
ロントランナー」といってもよいと思います。
 ここ防府市山口県下10万人以上の市で昨年
唯一の人口増加市ではありますが、この20年で
11,000人65歳以上人口が増えており、比率も27
%と11%ポイントも上昇しました。
 逆に就業人口といわれる15〜64歳は10,000人
減り、比率も60%と7%ポイントも下がりまし
た。
 消費の旺盛な年齢層が減ることで日本全体で
も消費が減っており長期的なデフレの主因の一
つとなっています。
 今アベノミクスで景気回復に向けた施策が打
ち出されていますが、その骨子は金融緩和によ
る投資の活性化・脱デフレと成長戦略であり、
高齢化社会への積極的な対応による活力回復へ
の処方箋はメインテーマではありません。
 消費の対局である貯蓄も高齢化で生かされに
くい構造となっています。老後の漫然とした不
安等に対し預貯金で貯込むスタイルは大きくは
変わらず、また長生きで相続資産の受取る側も
消費しない年齢層になっているため、引続き貯
込むスタイルが継続してしまうというサイクル
となっています。(※教育贈与信託などで少しで
も世代循環の早期化に貢献したいと思います。)
 高齢化を逆手に取り日本のフロントランナー
として発信していくためにもアクティブシニア
を増やすコミュニティーつくり(=健康増進モデ
ル地域&移動にコスト負担のかからないコンパク
トシティー)、アクティブシニアにとって魅力的
な消費提案ができる街つくりを目指すことが求
められているのではないかと感じています。