メディアの変遷と大村印刷の対応

        
           潮  貞 男

 先般機会を頂いたスピーチでの内容を少し整
理して文章にしてみました。
 大村印刷をはじめとする印刷業を生業とする
企業は、1990年初頭までは「メディア」として
の価値を考える必要はありませんでした。
 15世紀前半グーテンベルグによる聖書の活版
印刷以来、情報を極めて多くの人を対象に安く
均質に送る上(マスメディアとして)では印刷物
がそのメディアを寡占していました。
 勿論1900年代にはラジオ・テレビも出現しま
したが、メディアの中心にあったと言っても過
言ではありません。従って印刷物を考えていれ
ばメディアの価値を語れました。現在は多様な
デジタルメディアの出現、ICT(information
andcommunication technology)の進展でそうは
いきません。
 メディアとしての印刷物の寡占は許されなく
なりました。と同時に広告や宣伝によって販売
促進を考える顧客はどんなメディアを使った方
が商品はより売れるのか、静止した画像でしか
みることができない出版物(書籍や教科書など)
よりは手軽で音や動画があった方が理解しやす
いと考える人達にとってみれば、より自分たち
の目的に合致したメディアの選択ができる時代
がきたわけです。
 印刷物はメディアの一つにしかすぎない時代
です。まさに紙メディアとしての印刷物をメデ
ィアの物差しで測り価値が問われる時代であ
り、環境は大きく変わり続けていると捉えなけ
ればなりません。
 課題は「顧客は何故、印刷物をはじめとする
メディアを制作しようとするのか」、まさにメ
ディアの向こう側にある顧客の意図、目的達成
を共有し、ビジネスパートナーとして満足を得
られる事によってしか、ビジネスが成立しない
と考えねばなりません。
 時代とともに技術が進歩し、人が変わる、
個々人の情報の受け渡し方、受け取り方が変わ
る、コミュニケーションの仕方が変わる。勿論
変わらないものもあるでしょう。
 これまでに積み上げた印刷物製作上極めて他
業界より優れたメディア制作上の要素技術をも
って高付加価値な情報・メディアを創造する企
業への成長を大村印刷は目指しています。