火山の破局噴火

           東  佳 範

 今、自然災害への対策が言われている。また
企業ではBCPの作成が言われている。具体的には
南海トラフ地震による津波被害が最も多いであ
ろう。
 個人的にはもっと怖いものがある。それは富
士山の噴火である。約300年前の宝永4年の爆発
で江戸ではかなりの量の火山灰が積り大被害で
あった。
 現在同様の噴火が起こり、後の影響を含める
と首都直下地震以上の被害になるかも知れな
い。広範囲に渡り交通、電力、IT等がすべて麻
痺してしまうのである。そして日本列島が寸断
され弊社への仕事も止まると思われる。
 私たちが幼少時、富士山は休火山と言われ
た。休火山の定義は現在噴火(噴煙含む)してな
い火山の事と記憶している。
 ちなみに死火山は有史以来噴火活動をしてい
ない火山であった。死火山が爆発した事例は何
回かあり1968年の御岳山の噴火が有名である。
 1991年から活火山の定義は2千年以降に噴火の
記録が有る火山とされていたが、2003年に定義
が再度見直され1万年以降となった。火山にとっ
て数万年は一眠りに過ぎないのである。
 実はこの事で大事件が県内で起こったのであ
る(笑)。萩の笠山が活火山になったのである。
世界一小さな火山それも死火山と呼ばれていた
ものが活火山とは。ただ笠山は単成火山である
ので恐らく今後とも爆発はしないと思われる。
 富士山の噴火よりもっと怖いものが有る。そ
れは破局噴火と言う超大爆発であり、噴火して
カルデラになった火山が九州にいくつもある。
代表的なものが阿蘇山であり、過去4回も破局
火を起こしている。
 破局噴火は面白い小説になっているので紹介
しよう。石黒曜著「死都日本」防府図書館にあ
ります。
 破局噴火が起きたら国民の30%は死滅するで
あろう。実は最近恐れられていることがある。
 アメリカにある世界最大のカルデラ火山、イ
エローストーンが不気味な状況にあるそうだ。膨
大なマグマ(平面的にみて約9000?と言われる)が
地下に溜まりつつあるようだ。
 もし破局噴火を起こすと直接的な被害は北ア
メリカ全土にまたがる。ほぼ全滅かもしれな
い。
そしてその噴火に伴う大量の噴出物は成層圏
とどまり太陽光は遮られ地球の平均気温が10年
近くにわたり10℃下がる。人類存続の危機であ
り想像しただけでもぞっとする。 
 火山は過去何回も噴火しており、そしていつ
か必ずまた噴火するという事実であり、津波
一緒である。

追記 この文章の脱稿は9月23日であった。そして27日
の御岳山噴火。我々は火山島に暮らしていることを忘れ
てはならないと思う。