ボンボニエール

                    
           鈴 木 宏 明

 10月5日に高円宮典子女王殿下と出雲国造家・
出雲大社千家宮司の長男・国麿さんの婚礼の儀
が執り行われました。
 このビッグカップルの誕生は、あまり明るい
ニュースのない昨今において、大変お目出度い
国民的慶事として大きな話題となりました。
 びっくりされた方も多いようでしたが、実は
高円宮家と千家家は十年以上も前から、バード
ライフという野鳥を守るアジア地域の自然環境
の保善活動をご一緒になされ、私的にも家族ぐ
るみでバードウォッチングを楽しまれるなど深
い親交がありましたので、私たち神社界ではそ
れほどの驚きではありませんでした。
 結婚式の翌6日、松江の一畑ホテルにて披露宴
が催されました。「どんな人が招かれるのだろ
う?」と誰もが興味深々。しかし幸運にもこの披
露宴の招待状が私にも届き、国麿さんと典子さ
んの晴れの姿を拝見することができたのでし
た。
 当日ホテルに到着してみると、さすがに披露
宴が披露宴だけに報道陣もいっぱい!しかしマス
コミにも報道規制がしかれ、ホテル内には一切
立ち入り禁止で国道沿いにずらり並び望遠カメ
ラでホテル内の様子や出入りの人を取材してい
ました。また披露宴中、参列者も写真撮影は一
切禁止。そしてテーブル内であってもそれぞれ
がお酒など飲み物を注ぎあうことも禁止。この
ような厳しい規制もご皇室に対する配慮のこと
だと思います。それでも披露宴は地元の祝い歌
や神楽、お料理も島根県産にこだわったもの
で、和やかで品のあるお祝いの席となりまし
た。
 実はその披露宴の引き出物のひとつが話題に
なったボンボニエールだったのです。
 ボンボニエールとはフランス語でキャンディ
ーなど砂糖菓子を入れる小箱のことで、ヨーロ
ッパなどでは子供の誕生日や結婚式などのお祝
いに砂糖菓子が添えられ、その器にボンボニエ
ールが使われていたそうです。その素材はいろ
いろのようですが、この度のボンボニエールは
深川謹製の有田焼で出雲国造家の家紋の周りに
典子女王殿下のお印の蘭をデザインしたもので
した。その中に京都の菓子店で特別に作られた
金平糖が入れられ、ご皇室の慶事に相応しい風
雅な趣を醸し出していました。