お葬儀の形態とその変遷

           伊 藤 義 和

 最近おこなわれる葬儀は、大きく二つに分類
できます。ひとつは、これまでどおり葬儀のご
案内をして、大勢の会葬者に来ていただくもの。
もうひとつは、いわゆる「家族葬」です。
 家族葬といっても、本当に家族だけで行うも
のから、親戚・親しい友人に来ていただくもの
等さまざまです。
 実際、親戚・親しい友人が来られる葬儀は「近
親者葬」というのが正解でしょう。
 密葬という言葉もよく聞かれると思いますが、
これも家族だけで見送る葬儀もしくは後日改め
て行う場合に使われていますので、密葬と家族
葬との明確な境目は示すことができません。
 また、都会のほうでは火葬だけをする「直葬」。
即ち葬儀を行わず火葬のみを行っています。
 この世相をみるとき、もちろん大げさな葬儀
が必要だと思いませんが、「死者の命がかけが
えのないものであったという認識(かけがえのな
い人を失ってしまったという悼み)が伴わない結
果ではないだろうかと思います。
 それに平行して多いのが、宗教儀礼を伴わな
い「無宗教葬」自由葬と呼ばれる告別の会も増
えてきています。その考えとして、普段信仰と
は無縁で生きてきたのだから、宗教儀式はなし
でという選択とお寺さんに依頼したらお金がか
かるのでお願いしないという理由かと思います。
 どのような形式で葬儀をしても、亡くなった
人の命に関わる厳粛なものであり、遺された者
たちの死を受容するための作業であり、規模の
大小・宗教の有り無しも本質的には関係ないと
言えます。
 葬儀をとおして、人間の心の痛みを受け止め、
共有することが出来るかどうかが、大切な問題
ではないかと思います。
 我が町、防府では家族葬も増えましたが喪家
の方の勘違いが多いのが現状です。
 依頼の電話で、約半数の方が「家族葬」でお
願いしますと言われますが、聞いてみると親戚・
近所の人・会社関係に報告をすると言われます。
「それは家族葬ではないですね一般葬ですね」
と説明することが多々あります。
 世間で、家族葬という文字が広告・テレビな
どで言われているのが要因です。恐らく、家族
葬と言えば安くなるという認識だと思います。
 本当は、情報発信した葬儀会社が悪いのです。
 これからは、色々な形の葬儀が行われ、その
ニーズにあった葬儀を提案していくのが役目だ
と痛感している次第でございます。