「マイナンバー制度の注意点」

         古 閑 謙 士
 平成28年1月よりマイナンバー制度の運用が開
始されました。防府市内も昨年の12月上旬までに、
ほぼ全域で通知カードが配達された模様ですが、
全国ではまだ未達が多くあるようです。
 このマイナンバーは制度としては社会保障
税制度の効率性・透明性を高めることを目的と
しています。私たち税理士は「個人番号関係事
務実施者」として「個人番号利用事務実施者」
である税務署等に番号法に則り、個人番号利用
事務に関してマイナンバーを利用して行う事務
を委託されます。
 この文言だけ見ると非常に分かりづらいので
すが、単にマイナンバーの記載された源泉徴収
票や支払調書を作成して税務署等に提出する業
務を請け負うということが、番号法に則ると、
このような複雑な表現になります。
 さて、このマイナンバーですが、番号自体が
漏れたからと言って、すぐさま何らかの被害に
遭ったり全財産が暴かれるというような可能性
は低いです。将来的には不動産や預金にも番号
が連動し、情報漏洩により様々な被害が起こる
ことはあるかもしれません。
 むしろ今、一番怖いのは従業員から預かった
番号を漏洩し、それが悪用されることによって
従業員が被害に遭い、損害賠償請求を起こされ
たり、制度をよくご存じでないお年寄りなどが
番号制を利用されて詐欺に遭うことです。
 番号を問い合わせてくるような連絡が行政機
関からくることはありません。
 番号制度が周知される前が詐欺被害が最も多
いと私は思っています。番号漏洩による番号法
の罰則(4年以下の懲役または200万以下の罰金ま
たはその併科)よりも怖いのは、上記のような損
害賠償請求と詐欺です。
 これから年末調整や確定申告の時期に入ります。
今一度、社内や家庭内での情報管理の徹底をし
ましょう。