「おせち料理は庶民文化が花開いたもの」

   
         松 原 博 幸

 12月も半ば過ぎ新年まであとわずか、お正
月と云えば「おせち」。
 先日、京都でのあるセミナーにてそのルーツ
を聞きましたのでご紹介いたします。
 おせち料理が、現在のような形になったのは、
今から200年余り前、江戸時代の後半、そもそもの
由来は正月の節供料理で、宮中の「お節供(おせち)」
の行事から来ているそうです。
 宮中では、1月1日、7日、3月3日、5月5日、7
月7日、9月9日といった節目には神に神饌を供
え祭り、宴を開いたそうです。
 このようにおせち料理は宮中のしきたりが庶
民に広がり、やがて正月にふるまわれるご馳走
だけが、「おせち料理」と呼ばれる様になった
ようです。
 おせち料理の名前には意味があり、例を挙げ
てみますと
 ・黒豆…まめ(健康)に暮らせるように。
 ・数の子…子孫繁栄。
 ・田作り…江戸時代の高級肥料として片口
いわしが使われたことから豊年豊作祈願。
 ・昆布…よろこぶ。
 ・かちぐり…勝つ。
 ・鯛…めでたいに通じる語呂合わせ。
 ・橙…子孫が代々繁栄するように。
 ・里芋…里芋は小芋が沢山つきます。子宝に
     恵まれますようにの意。
 ・金平ごぼう…滋養たっぷりのごぼうのよう
     に強さや丈夫さを願う。
 ・紅白なます・紅白かまぼこÿ…
     お祝いの水引をかた取った祝儀用と
     してかかせないおせちの定番もの。
 ・栗きんとん…(栗金団)発祥は室町時代にあり、
     この頃は栗飴を丸めたもの。現在の形
     は明治。金団とは黄金の団子の意味。
 ・伊達巻き…華やかでしゃれた卵料理。
 この様に元旦に祝う屠蘇の祝い肴おせちは無
病息災と子孫繁栄の願いを祈ったものです。お
せちの意味に共通しているのは遠くにいてもど
この国でもお正月には家族が集い新年を迎える。
 大切な事は「おせち料理」に込められた心を
知ること。まもなく新年を迎ます。皆様も元旦
には改めてお重の中のおせち料理を味わってご
らん下さい。