料理屋のひとりごと(冬・前編)

        中 谷  泰
 
 秋をとばしたので冬編二本立てでいきたいと思います。
 冬 三方を海に囲まれた山口県は魚がとてもおいしく特に河豚「ふく」は山口県の代名詞で
す。
 よく河豚は一晩寝かすなどと言いますが、私共では、さばいて六時間後位に、少し厚めに引いていきます。歯ごたえを楽しんでいただくためです。
 彼岸から彼岸までと旬の時期を言いますが、やはり真冬、熱々のひれ酒を飲みながら食す河豚が最高ですね。
 産地は徳山沖のすくも島の河豚が最高と言われております。
 河豚の特徴のひとつに「脂の無さ」があげられます。他の魚と違って河豚だけは脂がのったなどとはいいません。河豚の身、皮、あらなどには、まったく脂がありません。脂は肝だけにあります。それも猛烈な量の脂が肝だけにはあ
ります。ですから河豚だけを食べてもあっさり淡白で歯ごたえを感じるだけにすぎないので、ポンズに肝をといて脂を補います。残念なことにとら河豚の肝は不可食部位となっており、提供することができないので、カワハギの肝など
を使用します。
 私どもでは先月中旬よりヌーボー解禁に合わせた料理も提供しています。「イチボ」という牛肉の部位を使用した会席料理です「イチボ」とはサーロインとももの間の部位で、もも肉の中では一番柔らかい部位です。脂もきつくなく
非常に食べやすいのですが、1頭の肉牛から数キロしか取れない希少部位です。この「イチボ」を丁寧にローストし、あっさりと召し上がって頂きます。他の料理もチーズや生クリームを使用し、やや洋風に会席料理を仕上げておりま
す。サービス料込みで7千円。グラスワイン1杯付き「イチボ会席」とご用命ください。
 今年は12月24日クリスマスイブが金曜日ですのでご夫婦でいかがですか?12月26日まで特別価格で提供いたします。24ー3000 桑華苑まで。
 河豚コースと併せ、冬の味覚を忘年会等でお楽しみください。